こんにちは、T研究員です。
2019年から世間をにぎわせた新型コロナウィルスですが、その社会的影響の把握のため様々なビッグデータを活用して検証が行われていることはご存じでしょうか?
今回紹介するのは、経済産業省が整理する「商業動態統計調査」です。
■データ概要
経済産業省の「商業動態統計調査」では、卸売業、小売業について業種別、業態別(百貨店・スーパー、コンビニエンスストア、家電大型専門店、ドラッグストア及びホームセンター)に動向を把握することができます。
データ名称 | 商業動態統計 |
---|---|
運営主体 | 経済産業省 |
公表/非公表 | 公表 |
費用 | 無料 |
更新頻度 | 毎月 |
データ項目 | 商品販売額、商品手持額※ ※商品手持額とは、販売の目的で保有している手持商品の金額で、原則として仕入原価 |
対象 | 大規模卸売店、百貨店、スーパー、コンビニ、家電大型専門店 ドラッグストア毎の販売額等が対象(都道府県・品目別) |
データ種類 | 標本調査(サンプル調査) 全国の約25,000事業所・企業を対象に調査(その後水準修正※) ※調査結果を経済センサスや商業統計の水準にあうよう修正 |
URL | https://www.meti.go.jp/statistics/tyo/syoudou/index.html |
詳細については、別の記事にまとめたものがありますので、そちらを参照ください。
■コロナの影響
「商業動態統計調査」を最新の見ると、昨年12月の小売業販売は、感染症の影響により、前年同月比▲0.2%と減少しています。しかし、業態別に見た場合、それぞれの特性により傾向に違いが見られます。
出典:消費動向に見る、withコロナのトレンド
https://www.meti.go.jp/statistics/pr/rikatuyou_20210219/rikatuyou_20210219.html
新型コロナウィルス感染拡大により、一番大きな影響を受けたのは百貨店であり4月の商品販売額は、緊急事態宣言による自粛(休業)や人々の外出自粛、インバウンドの減少により、約70%も低下している。
また、同じく商品販売額を落とした業態としてコンビニがある。これは、自粛により住宅地などの販売額が増加した一方で、オフィス街や商業地の販売額が減少した影響と考えられる。
一方で、自粛生活による内食の増加によりスーパーが、感染症対策用品の増加によりドラッグストアが、DIYの増加によりホームセンターの販売額が増加している。
家電大型専門店は、月による変動があるものの、在宅ワークのための物品の購入などにより、増加している。
■新たな活用の可能性
今回は、「商業動態統計調査」による業態別の販売額の新型コロナ影響に関する調査を紹介しました。
「商業動態統計調査」は、別記事でも紹介したように製品別都道府県別の情報も収録されています。そのため、「新型コロナウィルス感染拡大により、何県の業態(百貨店・コンビニなど)の何品の販売額に何%の影響があった。」等非常に細かい影響を把握することが可能です。
今回は、影響分析という形で整理いたしましたが、裏を返せば有事の際にどういったどういった商品が求められるのか、それによりどういった産業にどれくらいの影響があるのかといった企業戦略を考える情報としての活用が考えられます。
「商業動態統計調査」は、コロナ以前から毎年毎月公表されている情報のため、今回はコロナ影響についての分析ですが、東京オリンピックや大阪万博などのイベントの影響や大雪・地震・冷夏などの災害の影響なども把握することにも活用できると考えます。