こんにちは、T研究員です。
今回は、前回紹介したETC2.0プローブデータ(以降、「ETC2.0データ」とする。)のシステム自体の利活用の事例とETC2.0 システムの発展性について紹介したいと思います。
■データ概要
ETC2.0データのデータ概要は、前回ご紹介したように以下の通りです。
データ名称 | ETC2.0プローブデータ |
---|---|
運営主体 | 国土交通省 |
公表/非公表 | 非公表(共同事業や学術研究で利用可) |
費用 | ― |
更新頻度 | 日別時間帯別データ(分単位) |
データ項目 | 車両情報、走行履歴情報、挙動履歴情報 |
対象 | 高速道路・一般道利用車両 |
データ種類 | サンプルデータ(高速利用車の20%)増加傾向 |
URL | ― |
■その他の活用
ETC2.0データは、もとは高速道路の料金収受のために開発されたシステムです。しかし、車両1台1台を特定でき、且つクレジットカード情報との連動も可能なため、高速道路の料金収受以外にも様々なサービスで活用がされています。
●有料区間・エリアの侵入検知・料金支払い
1つめの利活用事例として、高速道路以外の道路の料金収受の活用があります。ETC2.0 システムを利用する利点は、新たに料金支払いシステム(車両の検知、特定、支払いシステム等)を構築する必要がない点です。利用者側も新たに車載機を設置する必要がなく、決済もETCカードで一本化できるなどの利点があります。
日本ではまだ行われていませんが、ロード・エリアプライシングを行う場合もETC2.0システムをそのまま利用して行うことができると考えられます。
例:箱根ターンパイク※現在は行われておりません。
〇箱根ターンパイクの事例
出典:レスポンス 2007年2月22日記事
https://response.jp/article/2007/02/22/91804.html
●駐車場管理
2つめの利活用事例として、商業施設の駐車場や時間貸駐車場の入退場の管理があげられます。これは、有料道路の料金収受と同様に利用車両の検知、特定、料金収受をETC2.0 システムを活用して行うものです。
出典:フルノ製品情報サイト
https://www.furuno.com/jp/dsrc/parking/case
●入退出車両の管理
3つめの利活用事例として、マンションや工事現場など特定の車両しか入場が許されないエリアの入退出の運営・管理があげられます。これは、ETC2.0 の個別車両が特定できる利点を活用して、入退場が認められた車両を検知して、ゲートの開閉を行うものです。また、入退時間も自動で記録されるため、車両情報の確認・管理にも活用することができます。
例:イオンモール常滑 https://www.furuno.co.jp/news/general/general_category.html?itemid=434&dispmid=1017
バスタ新宿 https://www.furuno.com/jp/dsrc/parking/case
ダイヤゲート池袋 https://www.furuno.com/jp/dsrc/parking/case2
〇バスタ新宿
出典:フルノ製品情報サイト
https://www.furuno.com/jp/dsrc/parking/case
●バスロケーションシステム
4つめの利活用事例として、バスのロケーションシステムへの活用があげられます。これは、ETC2.0 データの位置情報をロケーションシステムに活用するものです。
※バスの車載機を特定プローブ化することにより、個人情報を秘匿するプロセスを経ずに即時にデータを活用することができる。
出典:国土交通省
■ETC2.0システムの発展性
今回は、ETC2.0 システムの高速道路の料金収受以外の利活用事例について紹介いたしました。ETC2.0システムは個別車両を特定でき料金支払いも行える点、個別車両の経路も特定できる点など活用の幅が非常に広いシステムとなっています。そのため、各社独自に行われているタクシーや物流トラックの運行管理もETC2.0データを利用して代用することも可能と考えられます。
このようにETC2.0システムが様々なサービスに利用されるようになると、道路・交通とそれらのサービスが紐づいたデータを得ることが可能となります。それにより、交通と経済活動との関連性など今までできなかった詳細な分析を行うことができるようになると考えられます。
そのため、ETC2.0 システムの更なる発展が望まれます。