高速トラカンデータとは

高速トラカンデータとは

こんにちは、T研究員です。

 みなさんは、道路の混雑情報を混雑マップなどではなく定量的に知りたいと思ったことはないで
しょうか?

 今回ご紹介するのは、NEXCOや都市高速各社が運営する高速道路のトラフィックカウンター
のデータ(以降、「高速トラカンデータ」とする。)です。

■データ概要

「高速トラカンデータ」は、基本情報は以下のように公表はされていませんが、24時間365日の文字通りのビッグデータになります。

出典:T研究員調べ

「高速トラカンデータ」は、道路管制・施設制御や利用車に渋滞情報を提供するために収集しているデータです。

出典:NEXCO中日本「安全性向上3カ年計画の取組み状況」
https://www.c-nexco.co.jp/corporate/safety/torikumi/torikumi/vol08/

データは、以下のように高速道路の沿線に設置された機器を通じてリアルタイムに道路管制センターで収集・蓄積されます。このトラフィックカウンターは首都圏ではおおよそ2㎞間隔で設置されています。

出典:NEXCO中日本「安全性向上3カ年計画の取組み状況」
https://www.c-nexco.co.jp/corporate/safety/torikumi/torikumi/vol08/

このトラフィックカウンターで収集された道路や交通に関する様々なデータをネットワークを通じて道路管理センターに集め、道路の混雑などの管理・運用に使用されています。

出典:NEC「安交通管制システムのヒミツ」
https://jpn.nec.com/kids/himitsu/03.html


データ内容は、「時間別車種別」の「交通量」や「速度」であり、これらの情報を基に混雑状況が私たちに提供されています。

出典:2018.8.6土木学会インフラデータチャレンジキックオフシンポジウム資料
   https://committees.jsce.or.jp/cceips17/system/files/4-13_高速道路情報の紹介とNEXCO3社の指定課題.pdf


■活用事例

 「高速トラカンデータ」を用いて、NEXCOや国土交通省では以下のような活用がされています。

・道路の開通効果の計測
 新しい道路の整備前後の交通量や速度の変化(道路の開通効果)の確認のために使用されている。

出典:関東地方整備局「~都心を迂回して埼玉と千葉をつなぎ広がる効果~ 東京外かく環状道路(三郷南IC~高谷JCT)開通後の整備効果」
https://www.ktr.mlit.go.jp/ktr_content/content/000764884.pdf

また、周辺道路の交通量や速度の変化より、渋滞解消の効果の計測にも使用されている。

出典:関東地方整備局「~都心を迂回して埼玉と千葉をつなぎ広がる効果~ 東京外かく環状道路(三郷南IC~高谷JCT)開通後の整備効果」
https://www.ktr.mlit.go.jp/ktr_content/content/000764884.pdf

・新型コロナ等の災害時の影響把握
 高速トラカンデータは、24時間365日つねに情報が収集されているため、災害などの突発的な事象が及ぼす交通への影響を把握することも可能

出典:国土交通省「全国・主要都市圏における高速道路・主要国道の主な区間の交通量増減」
https://www.mlit.go.jp/road/content/001363943.pdf


■新たな活用の可能性

「高速トラカンデータ」は前述のとおり一般の企業や人は用いることのできないデータとなっています。しかし、企業連携や共同研究などでデータが活用できる可能性があります。(T研究員も共同研究・業務委託で活用したことがあります。) この膨大なデータを活用することができれば、ナビなど交通データを活用するシステムの精度の向上や物流などの輸送計画の効率化、交通を考慮した施設や都市計画の活用などが期待されます。また、過去のイベント時や災害時の交通データの蓄積があるため、企業のBCPの作成等にも役立てることができると考えられます。

新たな活用例

  • ナビの精度向上
  • 施設立地計画の活用
  • 災害時、イベント時の搬送、移動計画の活用  など。

■まとめ

今回は、高速道路の交通に関するビッグデータを紹介しました。今更交通や混雑なんてカーナビ(アプリ)やGoogleでもわかると思われるかもしれませんが、このデータの特徴は365日24時間常にデータが収集蓄積されている点です。そのため、常時の渋滞などのデータはもちろん大雨などの災害や花火などのイベント時の交通動向の変化も常に蓄積されており、それらの過去のビッグデータを活用することにより、今後起こりうる出来事の影響を事前に把握できる点にあると思います。

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