モバイル空間統計とは

モバイル空間統計とは

こんにちは、T研究員です。

みなさんは、各地域・エリアにどのくらい人がいるのか、またその人たちはどのように移動しているのか知りたいと思ったことはないでしょうか?

今回ご紹介するのは、最近コロナに関するニュースでもよく見かける通信各社が運営する携帯電話基地局データ、その中の一つであるモバイル空間統計(以降、「モバ空」とする。)です。(GPSの位置情報とは異なる。)

■データ概要

モバ空は、NTTドコモが作成しているビッグデータであり、購入することが可能です。

出典:T研究員調べ

携帯電話(スマートフォン)は、電話や通信を行うために携帯電話から発せられた電波は、すぐ近くにある「無線基地局」という大型のアンテナつきの無線通信装置に届き、光ファイバーなどの有線ケーブルを伝って、さまざまな通信設備を経由します。そして、通話相手の近くにある無線基地局までたどり着くと、再び電波となって相手の携帯電話に届いて、通話が成り立っています。モバ空では、この仕組みを利用して、携帯電話(スマートフォン)の利用者の位置情報(基地局情報)を収集したデータになります。

出典:NTT東日本「携帯電話・通信の仕組みと歴史」
   https://business.ntt-east.co.jp/content/nw_system/03.html

そのため、この携帯電話基地局データは統計や調査データより細かく、GISデータより荒いといった特徴を持つデータとなっております。しかし、常に大多数のデータを収集できるという点では、非常に利用しやすいデータとなっています。

出典:ビジネス+IT「モバイル空間統計とは何か?エリアマーケティング・訪日外国人推計に使える人口分析」
   https://www.sbbit.jp/article/cont1/31968

モバイル空間統計はNTTドコモ利用者のみのデータですが、各エリアの人口推計データを活用した拡大を行うなど、データの精度を高める取り組みも行われています。

出典:モバイル空間統計
   https://www.google.co.jp/url?sa=i&url=https%3A%2F%2Fmobaku.jp%2Fabout%2F&psig=AOvVaw3_UTxcbYOtJS-LTb6MbrFS&ust=1604909776917000&source=images&cd=vfe&ved=0CAIQjRxqFwoTCMi6rvzA8uwCFQAAAAAdAAAAABAh


また、携帯電話の所有者情報と組み合わせることにより、「性別」「年齢」「居住地」別のデータを取得できることが大きな特徴です。

出典:モバイル空間統計
   https://mobaku.jp/about/

更に、モバイル空間統計では、訪日外国人が利用するドコモ回線のローミングサービス(海外でネットを接続するサービス)を利用して、訪日外国人の情報についても収集しており、訪日外国人の滞在情報や移動情報等も活用することができる。

出典:NTTドコモ「データローミングとは?」
   https://www.nttdocomo.co.jp/service/world/roaming/check/dataroaming/



■活用事例

モバ空のデータを利用することにより、以下のようにエリア・メッシュ毎の人口分布や滞在時間を把握することが可能です。また、メッシュやエリア単位になりますが、人の移動(OD)を博することも可能なデータです。

・人口分布・滞在状況・人の移動の把握

出典:高度交通省 分析事例
   https://www.mlit.go.jp/common/001271901.pdf

・訪日外国人の滞在状況・移動の把握

また、前述のとおりローミングサービスにより入手した情報を基に上記と同じ情報を把握することが可能です。また、下記のように地域別の外国人の滞在状況等も把握することができるため、観光戦略(案内板の言語や観光計画)の立案への活用なども考えられます。

出典:国土交通省 参考資料 
   https://www.mlit.go.jp/common/001271900.pdf

・混雑状況(コロナの密情報)

また、昨今のコロナ関連では、リアルタイムに人の混雑状況を把握することができるため、密の回避や対策立案へ情報を活用することが可能なデータとなっています。

出典:モバイル空間統計
https://mobakumap.jp/#35.684592,139.790103,13z


■新たな活用の可能性

人の所在や移動を把握することは、その地域のポテンシャルや需要を把握する上で非常に有益なデータです。そのため、出店計画やマーケティング、交通計画など様々な活用可能性が考えられる。

 人は何かの目的で移動をします。そのため「モバ空」をただ単に移動や分布のデータとして活用するのではなく、モバ空のデータと別のデータ(商品購入、施設利用等)との連携により、より生きたデータへの展開が期待されます。

新たな活用例

  • エリアの需要を考慮した出店計画・マーケティング
  • エリアの需要を考慮した交通計画(バス、鉄道等)
  • 災害時、イベント時の人の動態把握       など

■まとめ

今回は、人の所在や移動を把握することができる「モバ空」を紹介しました。同様のデータとしてKDDI系の「コロプラ」、Softbank系の「agoop」などがあります。そのため、補正等は行われているとは思いますが、「モバ空」は全数データではありません。なので、各社のデータが統合されより、より精緻で利用しやすいデータとなることが望まれます。

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