こんにちは、T研究員です。
今回は、前回紹介したETC2.0プローブデータ(以降、「ETC2.0データ」とする。)の利活用事例について紹介したいと思います。
■データ概要
ETC2.0データのデータ概要は、前回ご紹介したように以下の通りです。
データ名称 | ETC2.0プローブデータ |
---|---|
運営主体 | 国土交通省 |
公表/非公表 | 非公表(共同事業や学術研究で利用可) |
費用 | ― |
更新頻度 | 日別時間帯別データ(分単位) |
データ項目 | 車両情報、走行履歴情報、挙動履歴情報 |
対象 | 高速道路・一般道利用車両 |
データ種類 | サンプルデータ(高速利用車の20%)増加傾向 |
URL | ― |
■活用事例
ETC2.0データは、前回ご紹介したように以下の特徴を持つデータです。
・24時間365日の観測データ
・高速道路から生活道路まで、すべての道路の交通状況・経路を把握できる。
・普及途中のデータのため、全数データではない。
以上の特徴を踏まえ、以下のような活用がされています。
●路線速度の把握
ETC2.0データは、全数データではないので交通量を把握することはできません。しかし、全数を必要としない速度や速度や所要時間を把握することが可能です。その特徴を生かし、これまでは、現地調査・観測が必要であった路線速度を調査なしで把握することができたり、今まで調査が行われてこなかった細い道路などの速度を把握することが可能です。
出典:外環道記者発表資料 平成31年1月9日
https://www.ktr.mlit.go.jp/ktr_content/content/000721792.pd
●ヒヤリハットの把握
ETC2.0データのもう一つの特徴として、急ブレーキや急ハンドル箇所(通称:ヒヤリハット)を把握することが可能です。この特徴を生かし、例えば通学路の危険個所や潜在的な事故危険個所を明らかにすることが可能です。
※下記の資料事例は、ヒヤリハットの集計値ですが、元データは座標のため、発生個所・路線単位等の細かな集計を行うことも可能。
出典:外環道記者発表資料 平成31年1月9日
https://www.ktr.mlit.go.jp/ktr_content/content/000721792.pd
●データのリアルタイム活用
今までの交通データは、データを収集・データクリーニングが行われて初めて利用可能となるため、データを利用するまでに時間がかかってしまいました。特に交通は刻々と状況が変化するため、データをすぐに利用したい場面が多くあります(事故・渋滞対策など)。
ETC2.0データの一部は、リアルタイム活用できるように収集されており、災害時の道路状況の把握やバスロケーションシステムとしての活用が検討されている。
出典:第8回 地域道路経済戦略研究会 関東地方整備局
https://www.mlit.go.jp/road/ir/ir-council/keizai_senryaku/doc08.html
●ETC2.0 データの展望
前回もご紹介したようにETC2.0データはまだまだ普及普及途中のデータであり、その活用方法についても様々な分野で試行錯誤が行われています。国土交通省では全国の大学の先生方と協力し、各地方が持つ地域課題の解決のためにETC2.0 データが活用できないか公開で研究が行われています。
出典:第12回 地域道路経済戦略研究会
https://www.mlit.go.jp/road/ir/ir-council/keizai_senryaku/doc12.html
■新たな活用の可能性
今回はETC2.0 データの利活用について紹介いたしました。ETC2.0 データはまだまあ普及途中のデータのため、ETCログやトラカンデータと違い全数データではありませんが、道路交通に関わるありとあらゆる情報を把握することができます。データ自体は行政や研究のみでしか公表されていなので、今後の活用や発展性のためにも、一般に公表されることが望まれます。