こんにちは、T研究員です。
2019年から世間をにぎわせた新型コロナウィルスですが、その社会的影響の把握のため様々なビッグデータを活用して検証が行われていることはご存じでしょうか？
今回は、新型コロナウィルスの社会的影響の検証に使用されたビッグデータの紹介と、新型コロナウィルス検証以外のデータの活用について紹介したいと思います。
今回紹介するのは、国土交通省が整理する「全国・主要都市圏における高速道路・主要国道の主な区間の交通量増減（トリップ長・OD分析）」のデータのその②です。
■データ概要
国土交通省では、「新型インフルエンザ等対策特別措置法」に基づく緊急事態宣言が発令された令和２年４月７日以降の全国のトリップ数とトリップ長とODを収集し、新型コロナウィルスの影響について整理されています。
トリップ数とトリップ長はETC2.0 のデータより整理されています。
※ETC2.0 のデータの詳細については後日まとめます。
※本調査はETC2.0 データが使用されており、前回のトラカンによる整理と異なり、乗用車や貨物車などより細かい車種別の動向が把握可能。
■そもそもトリップとは
トリップとは、目的を達成するための移動の数え方の一つです。例えば、通勤や買い物など「一つの目的」を達成するために出発地から到着地まで移動すると１回とカウントします。
出典：パーソントリップ調査 https://www.mlit.go.jp/toshi/tosiko/toshi_tosiko_tk_000031.html
パーソントリップ調査に関する用語の説明
https://www.city.sakai.lg.jp/smph/shisei/toshi/kotsuseisaku/kento/kanrencyosa/persontrip/yogosetsumei.html
■活用事例
「全国・主要都市圏における高速道路・主要国道の主な区間の交通量増減（トリップ長・OD分析）」を用いて日本全国のコロナ禍の移動状況（移動の増減、移動距離の変化）を把握することができます。
●移動数の変化
新型コロナウィルスの感染拡大により、乗用車の移動が平日は23%と一番大きく減少しており、特に休日は29%とその減少幅が大きいことがわかります。一方で、トリップ長（移動距離）の変動は少なく、すべての距離帯の移動において、交通量が減少したことが言えます。
出典：全国の高速道路の主な区間の交通量増減（対一昨年比）
https://www.mlit.go.jp/road/content/001346506.pdf
https://www.mlit.go.jp/road/content/001346507.pdf
●都道府県別の移動数の変化
都道府県別に発生トリップ（移動）の変化をみると、全国的に移動が減少しており、特に東京、大阪、沖縄などの感染率の高い地域の休日の移動が減少している。
※ETC2.0 は普及途中のシステムの情報のため、ETC2.0 対応車の増加や路側機の増加により日々サンプル数が上昇している。そのため、今回の四国のデータ等時点比較は注意が必要。（そのため、実際はもっと移動が減少している可能性も考えられる。）
出典：全国の高速道路の主な区間の交通量増減（対一昨年比）
https://www.mlit.go.jp/road/content/001346506.pdf
https://www.mlit.go.jp/road/content/001346507.pdf
●OD（エリア間移動）の変化
都道府県県間（ブロック内）の移動数の変化についても整理がされている。
道路の主な区間の交通量増減（対一昨年比）
https://www.mlit.go.jp/road/content/001346506.pdf
https://www.mlit.go.jp/road/content/001346507.pdf
■新たな活用の可能性
今回は、新型コロナ禍の移動数、ODに関するビッグデータを紹介しました。
今回の分析は、前回の分析とは異なり、高速道路以外の移動についても含まれている点が特徴です。（高速道路に路側機が多く設置されているため、高速道路利用のデータが多い点に注意）。そのため、新型コロナの感染拡大により、物流や観光などの長期利用の他に、日常の短距離移動の影響をとらえることができます。
そのため、コロナ禍における人々の行動変容を把握することができるため、今の情報は都道府県単位のため難しいかもしれないが、施設戦略や立地計画に活用できると考えられます。
新たな活用例
・施設戦略や立地計画 など
